津村彰氏コラム第22回「ヤマハの2018年真打登場!「L3」スイッチのおさらいとSWX3200」

1.  はじめに

先日2月9日に、ヤマハより新製品「X18」こと「スタンダードL3スイッチ SWX3200」、「ライトL3スイッチ SWX3100」、の製品発表がありました。

リリースページ

これにより、従来ヤマハ製品でカバー出来ていなかった「L3スイッチ」の領域と、今後大容量のトラフィックを扱うのに必須な「10GBase Ethernet」を同時に手に入れる事が出来るようになりました。

実際の3月の発売を前に、これらの「何が凄いのか」「どう凄いのか」をまとめてみたいと思います。

2.  ついに登場!ヤマハのL3スイッチ!

従来、ヤマハのネットワーク製品では「ルーター」「L2スイッチ」がカバーされており、それにより中小企業を中心としたほとんどの場面において、ヤマハ ネットワーク製品が活躍しておりました。

このたび、「X18」こと「SWX3200シリーズ」「SWX3100シリーズ」のリリースにより、より大容量の通信を安定処理する必要のある場面において有用な「L3スイッチ」がカバーされ、より様々な場面においてヤマハ ネットワーク製品の活躍が期待されています。

今回、L3スイッチでは3製品が発表されており、10GBase対応や冗長化などのフル機能を持った「SWX3200シリーズ」のポート数違いが2機種と、機能を絞りシンプルかつ低価格に抑えた「SWX3100シリーズ」の1機種が発表されました。

ヤマハ スタンダードL3スイッチ『SWX3200-52GT』

ヤマハ スタンダードL3スイッチ『SWX3200-28GT』

ヤマハ ライトL3スイッチ『SWX3100-10G』

 

3.  「L3スイッチ」は、スイッチとルーターの良い所どり!

少し難しいお話になりますが、ネットワークを語る上で欠かせない「OSI参照モデル」のお話となります。

従来RTXシリーズ・NVRシリーズといったヤマハ ルーターでは、レイヤー3のルーティング処理・レイヤー4の変換・フィルタ処理を、ソフトウェアによって行っておりました。

それにより、ソフトウェアによる柔軟な処理が可能な反面、実装できるポート数の制限や、実際に処理できるスループットに制限が出てきました。上位モデルのルーター(RTX3500・RTX5000)では、IPSecの暗号化処理を専用のハードウェアを用いて高速化していますが、それ以外の部分については基本的には変わりません。

また、かつて「スイッチ」と呼ばれたヤマハ スイッチでは、レイヤー2のスイッチング処理をハードウェアによって行っておりました。これにより、ネットワーク層による通信のスイッチング処理(振り分け処理)をハードウェアで処理しており、物理的な制限(ワイヤースピード)まで処理する事が可能ですが、ルーティングの処理を行う事が出来ず、それらについてはルーターに委ねる形でした。

L3スピードは、これら2製品の中間である「ルーティング処理をハードウェアによりワイヤースピードで行うスイッチ」です。これにより、従来ルーターでは処理し切れなかった大容量の通信を、ハードウェアを用いる事によりワイヤースピード、かつ安定して処理する事が可能です。

その一方で、ルーターのような柔軟性を兼ね備えておらず、例えば一部の動的ルーティングやトンネリング(IPSecなど)の実装などにおいてはルーター製品に譲る構成が一般的です。

4.  ヤマハ L3スイッチによって開ける世界

リリースページでは「企業(病院)内ネットワーク構成のイメージ」として導入のイメージが示されていますが、例えば300人規模を超える企業では、フロアや部署事にIPセグメントを分けるなどし、コアスイッチやコアルーターにより集約しているケースが多く、L3スイッチを導入するフェーズと言えます。

コアルーター+L2スイッチといった構成でもある一定までの規模であれば処理できますが、L3スイッチの導入により、フロア間・部署間といったセグメント間を高速かつ安定して接続する事が可能になります。また、SWX3200ではスタック機能の実装により、配下にリンクアグリゲーション(LACP)に対応したスイッチを用いる事により、配下のネットワーク機器に対し物理的な冗長が可能です。

また、10GBaseのアップリンクに対応した事により、より大容量のネットワークを構成する事が可能になります。

また、セキュリティ面ではIEEE 802.1X認証, MACアドレスベース認証といった従来の認証に加え、端末のウェブ画面を用いた「ウェブ認証」が追加されました。これにより、従来端末のハードウェアに紐づいた認証処理に加え、ウェブブラウザによる認証処理を行う事も出来るようになりました。

SWX3100は、冗長化や動的ルーティング・10GBase対応といった機能を大幅に削った製品であり、シンプルかつ安価なL3スイッチを必要とする現場において活躍する事が出来ます。例えば支社・支店といった規模的に大きくない拠点において、大規模な本社と同等のネットワーク構成を安価に構成する際に向いています。

5.  おわりに

今回は、ヤマハの新製品「L3スイッチ」について、簡単な解説をしました。

ヤマハ L3スイッチは、従来のL3スイッチ製品とは異なり、従来の簡単な設定や日本語WebUI、「ネットワーク見える化(LANマップ)」を踏襲しつつ、「10GBase対応」「スタック構成」「Web認証」といった機能を実装する事により、より日本の現場に即した製品になった事は間違いないでしょう。

また、価格面でも他社のL3スイッチよりも安価であり、コストパフォーマンスの良い製品である事は間違いないと思われます。