津村彰氏コラム 第20回「YNEの検証ルームで実機検証をしてみよう」

1.  はじめに

ヤマハのルーター・スイッチ・無線LANアクセスポイントの相互交流の場として、会員制コミュニティ「ヤマハネットワークエンジニア会」(通称「YNE))があります。

今回は、YNEの「検証ルーム」を使い、遠隔地のヤマハ ルーター実機を操作する事による実機検証についてご紹介したいと思います。

2.  検証ルームとは?

正式には「遠隔検証システム」と言い、ブラウザのみで遠隔地に設置されたヤマハ ルーター及びスイッチを、あたかも手元にあるかのように操作し、実機検証を行うシステムです。

従来、実機の手配やラボ構築など、いわゆる「準備」にとても時間が掛かっていましたが、一部の制限がある事を除くと、とてもカンタンに実機を操作する事ができるようになっています。

また、投入するコンフィグや検証したコンフィグは、もちろんお手元に保存できるようになっています。

3.  検証ルームで出来ること

検証ルームでは、以下のような作業が可能です。

  • 同時に2台までの実機を直接操作可能
  • フレッツVPNワイド相当のPPPoE接続のWAN環境による試験
  • CATV接続等のDHCPによる接続のWAN環境の試験
  • 各ルーター LAN1からのブラウザ操作
  • CONSOLEポートからの操作

例えば、PPPoE接続とCATV接続による疑似インターネット(WAN)にて、IPSec接続の検証なども可能です。

4.  機器を予約してみよう


検証ルームでは、はじめに利用する機器の予約を行います。

同一UNIT内で、最大2台までの機器を同時に利用する事ができます。

また、「すぐに使いたい」という場合、最短約10分で機器の利用開始が可能です。

5.  検証環境の利用方法


準備が出来たら、「遠隔検証システム」を開き、検証システムの利用を開始します。

下記のようなウィンドウが表示されるので、表示したままにしておきます。

今回は、「接続リスト」「仮想PCのDHCP再取得」「クリップボード」の3つの機能を使用します。

接続リスト(上記の画面では「UNIT1-ROOM3」)をクリックすると、遠隔検証システムのデスクトップがブラウザに表示されます。

この際、ブラウザのポップアップブロックにより表示されない場合がありますので、確認してみてください。

また、仮想デスクトップの調子が悪い場合、一度閉じて再度開きなおす事で改善する場合があります。

仮想デスクトップは、Linuxをベースとしたデスクトップ環境であり、通常のWindowsやmacOSとは使い勝手が若干異なりますが、基本的な操作方法は同じです。

例えば以下のように、ウィンドウサイズを変更しコンソール操作に特化させる事も可能です。

6.  コンフィグや実行結果を転送する「クリップボード」

クリップボードを使うと、仮想デスクトップ内とブラウザの間で、コンフィグや実行結果をコピーする事が可能です。

ここでは、コンソール操作でページャーを抑制するコマンド「console line infinity」を機器に投入してみましょう。

ブラウザ上のクリップボードに、入力もしくはコピー&ペーストすれば、すぐに実機に投入する事ができます。

キーボードの「Shift」と「Insert」を押す事で、実機のコンソールに該当のコマンドが入力されました。

逆に、実機の実行結果をエディタ等にコピーしてみましょう。

通常の操作と同じく、文字をドラッグする事で選択可能です。

ブラウザ側のクリップボードに、リアルタイムに選択した文字列が表示されるので、これをコピー&ペーストします。

制限事項として、現在は日本語が文字化けする事が確認されています。

7.  WANはDHCPとPPPoE両方が使える


各機器のLAN2はWAN用になっており、DHCPもしくはPPPoEにより、WANのセグメントである「10.128.253.0/24」が利用できるようになっております。

PPPoEの設定は以下の通りです。

以下は、LAN2にてDHCPにて取得したIPアドレス同士で、IPSecを構築した例です。

8.  LAN1のアドレスを変更した場合は、「仮想PCのDHCP再取得」

上記のIPSec構築の例では、片側の拠点のLAN1を「192.168.101.1/24」に変更し、DHCPのスコープを変更しています。この際、仮想PC(仮想デスクトップ内のブラウザ)のIPアドレス変更が必要となります。

その際、Windowsで言うところの「ipconfig /renew」コマンドを、ブラウザから実行する事が可能です。

ここでは、RTX1210のLAN1側仮想PCのIPアドレスを再取得します。

上記のボタンをクリックししばらく待つと、取得されたIPアドレスが表示されます。

この後、仮想デスクトップ内のブラウザにて、ダッシュボードのIPアドレスを再入力して接続する事で、新しいIPアドレスでルーターのダッシュボードを利用する事ができます。

9.  検証の成果のコンフィグはクリップボードで持ち帰る


検証作業が終わった後は、クリップボードを経由しエディタ等にコンフィグをペーストし、保存します。

この画面の例では、フリーウェアのテキストエディタ「TeraPad」に、検証結果のコンフィグをペーストしています。

10.おわりに

以上で、YNEの検証ルームを使った、遠隔実機検証の方法を一通りご紹介した流れになります。

従来、販社様などより実機をお借りし、複数台のPCの使用やケーブルを差し替えながら検証を行う事が常でしたが、無償で検証ルームを使用する事により、ある一定までの検証作業であればブラウザのみで完結する事ができるようになりました。

これにより、よりヤマハ ルーター・スイッチの検証が進む事と思われます。