【レポート】ヤマハ ネットワーク製品 アップデートセミナー2017【東京】

今年でヤマハは創業130年を迎え、ネットワーク機器参入のきっかけになったFAXモデムをリリースして30年が経つ2017年にヤマハはアニュアル全国縦断イベント「ヤマハ ネットワーク製品 アップデートセミナー2017」で何を語るのか。今回のレポートでは全国10か所で開催されている「ヤマハ ネットワーク製品 アップデートセミナー2017」を取材し、そのハイライトを紹介することにする。

今回のハイライトは以下である。

  • ヤマハ初のL3スイッチ市場投入
  • 同スペース同設定で超高速化を実現した後継機種RTX830の登場
  • 進化するYNO

以下では順に解説していくことにする。

※ヤマハ ネットワーク製品 アップデートセミナー2017【東京】の模様

◆二強と言われるルーター市場。ヤマハの次の戦略と

国内ルーターシェアは完全に2強の時代となりハイエンドに強いシスコとミドルとSOHOに強いヤマハというシェア構成が長期間続いており、ここ数年は2社のシェアが伸び、他社のシェアが落ちている状況だ。 IDC Japanの調査によるとSOHO市場において13年連続でヤマハルーターがトップシェアであるとのこと。SOHO市場は非常に大きく、総務省統計によると、現在日本国内には民間570万事業所あり、その中で20人以下のSOHO事業所の数は500万事業所を超えるとのこと。今回はこの膨大な市場の中で市場をけん引するヤマハの次の戦略を聞くことができた。

◆初のL3スイッチの登場

ヤマハのネットワーク製品の戦略展開として、ルーター製品の「高速・安定・VPN」の強さとファイアウォール製品の「多彩なWAN I/F」の強さで市場シェアを獲得してきた。そして次の一手としてここ数年強化してきたのはスイッチである。スイッチの分野ではL2シンプル、L2スマート、L2インテリスイッチの分野でLANマップを搭載し、「外部ネットワークの見える化」から「LANの見える化」に範囲を広げようとしていた。一方でL2スイッチについてはラインアップが充実していたが市場からはL3スイッチの投入が求められていた。今回、満を持して投入されるのがヤマハ初となるL3スイッチになる。

※写真はヤマハ初のL3スイッチ製品の試作機

※新製品の展示の模様

今回、市場投入するL3スイッチは「L3スイッチ(X18-R)」である。この製品はバックボーンを構成することを想定し開発されたスイッチであるため、信頼性を高めるためのスタック機能を装備している。また高速アクセスを実現する10G I/Fを装備している。

また、用途に合わせたL3機能を提供できるように、以下の3ライナップを提供する予定だ。

・Light L3 Switch「X18-R-8」(中小企業・SOHO向け)

・Standard L3 Switch「X18-R-24」(中堅企業・学校・病院向け)

・Standard L3 Switch「X18-R-48」(中堅企業・学校・病院向け)

上記3ライナップを比較すると以下の表となる。

※以下の表は2017年11月22日時点での予定機能である。

モデルネーム Light L3 Standard L3
X18-R-8 X18-R-24 X18-R-48
インターフェース GbE 8 24 48
SFPスロット 2 0 0
SFP+スロット 0 4 4
コンソールポート RJ45 ×1,USB mini type B ×1
外部メモリ Micro SDスロット×1(SDHC)
その他 スタック機能 未対応 対応
動作温度 50℃(ファン無し) 50℃(ファンあり)
スイッチ機能 L3 スタティックルーティング
RIP v1/v2 RIP ng
OSPF v2,v3
VRRP
IGMP,PIM v4
MLD,PIM v6
DHCP v4 Server/Relay
DHCP v6 Server/Relay
L2 省電力機能(EEE)
ループ検出
リンクアグリゲーション
ポート/タグVLAN
プライベートVLAN
VoiceVLAN
マルチプルVLAN(SWX2200相当)
GVRP
802.1x認証
MAC認証
ポートセキュリティ
Web認証
スパニングツリー
IGMP/MLDスヌーピング
DHCPスヌーピング
ACL
QoS
設定・管理 TELNETサーバ
SSHサーバ
L2MSマスター
L2MSスレーブ
LLDP LLDP-med
SNMP
SYSLOG
RMON
端末監視
パフォーマンス観測
SDカード ファーム起動/更新
  • =製品発売後の対応予定機能

○=SWX2300からの追加予定機能

上記の機能のうち、スタック機能は今回ヤマハ出始めて実装された機能である。これは複数のスイッチを1台に見せる機能であり、上場性を確保しながら、スイッチの利用効率を高めることができる機能である。また、容易にポートを増設しやすくなることから拡張性を高めることができるようになるのである。

ヤマハは今回のL3スイッチ製品投入により、スイッチ製品は一通りラインアップをそろえたことになる。ネットワークへの負荷が高まり、流通するデータ量が増え、管理体制の効率化と迅速な対応が求められる今後において、企業ユースのスイッチに対して求められる要件も変わっていくはずである。採用されているノンインテリのスイッチはシェアを落とし、インテリなスイッチの低価格化とネットワーク要件の高度化により、インテリスイッチのシェアは増え、結果的にルーターとスイッチは相互の親和性や管理上のメリットを優先して採用されて行くはずである。理由はスイッチが停止するだけでネットワークが停止しm業務に影響を及ぼすため、効率的に安定したネットワーク運営をするうえで、管理をしなければならない機器であるためである。機能現在、市場シェアにおいてはルーターとスイッチのシェアはねじれているが、近い将来にはスイッチシェアが変動し、スイッチの世界においてもヤマハのシェアが伸びる日も近いと考える。メーカーを統一したほうが管理が容易なのは言うまでもないからである。

◆サイズ・設定そのままで超高速化され、進化したRTX830

この秋に、RTX810の後継機種としてRTX830がリリースされている。RTX830の見どころを一言で言えば、大幅に性能が向上された上位互換機と言えるだろう。サイズがそのままで設定もそのままに、古くなったRTX810からRTX810にリプレイスするだけで処理性能が数倍に向上するのが魅力である。RTX810が発表された6年前と今ではユーザの通信の状況は全く違うはずである。10年前と比較するとネットワークに流れるデータ量は10倍になっており、ここ3年間では年間1.5倍づつ増加しているようだ。このようなデータからもRTX810を採用されたユーザのネットワーク・トラフィックは単純に考えて2倍以上には最低でもなっているのではないだろうか。RTX810とRTX830の性能比は大よそ以下になるとのこと。

単体性能比

UDPスループット LAN接続5倍以上、IPSec6倍以上

TCPセッション数 LAN接続12倍 IPSec14倍

拠点VPNルーターとしての性能比
(例:センターをRTX1210のままに拠点ルーターをリプレイスした場合

UDPスループット IPSec5倍以上

TCPセッション数 IPSec9倍

※ショートパケットによる測定

RTX830は大幅に性能向上されただけではなく、金属筐体になったり、ケーブルの差し替え時にターミナルの再起動、再接続が不要になったり、通信系とマネジメント系で使用CPUが分離したりなど、現場目線で運用のしやすさと設定のしやすさが向上している。

個人的にはマルチポイントトンネル機能が嬉しい。マルチポイントトンネル機能はRTX1210で実装済みであるが、今回RTX830にも実装されている。マルチポイントトンネル機能では一つのVPN設定で複数拠点へのVPN接続を実現する機能である。拠点の移設増設時の手間が軽減される。

 

RTX830はRTX810ユーザがリプレイスしやすく、またそのメリットが大きいルーターとして進化を遂げている。

※RTX810とRTX830の比較は以下を参照

https://network.yamaha.com/products/routers/rtx830/index

※YNEに無料登録するとRTX830をネット上で検証が可能。YNEは以下を参照。

http://yne.force.com/

◆SD-WAN的アップデートを計画するYNO

全てのヤマハ・ネットワーク機器をクラウドから管理することで、管理負担を大幅に軽減することを狙っているYNO(YAMAHA Network Organiser)がヤマハ流のSD-WAN的に進化する計画がある。

ハイライトは以下の通りである。

・GUI Forwarer(新機能として利用可能):現地の端末にログインせずに、ヤマハ・ネットワーク機器のGUIを全てクラウド上のYNO画面に表示・管理できる

・ゼロタッチコンフィグレーション(新機能として利用可能):YNOに登録されたコンフィグレーションを自動配信し、現場ではケーブルをつなぐだけのゼロタッチコンフィグレーションを実現。

・DPIとYNO連携(後日提供予定):ルーターを経由する通信の内容をDPIで分解し、内容によって各種制御に振り分けることが可能に。

※YNOについては以下を参照

https://network.yamaha.com/products/software_service/ysl-yno/index

◆ヤマハルーター向けデータ通信サービス「CarePlus」

ヤマハ・ネットワーク製品の総販売代理店であるSCSKはトータルサポートサービス「CarePlus」を提供しており、その中にヤマハルーターを対象としたデータ通信サービスを提供している。同サービスはヤマハルーターを管理するソフトウェアとSIMカードと通信回線がセットになったサービスである。データ通信量制限なしで月額880円からの提供は正直に言ってうれしいサービスである。必要なものを安く提供するヤマハの流儀を受け継いだネットワークサービスかもしれない。あまり知られていないサービスだが押さえておきたい。

◆まとめ

今回のセミナーでは、新規投入されるL3スイッチの全容とRTX830の高速性能、YNOのSD-WAN計画が理解できた。ヤマハのネットワーク製品の良いところは日本の環境、日本のエンジニアの現場作業の負担軽減をよく考えた製品設計であり、それが13年間SOHOルーター市場でトップシェアを獲得している理由の一つであると考える。今回のイベントにも実際に設計・開発された技術者が展示ブースで説明しお客様の名前の声を直接聞く姿を見れた。ヤマハ・ネットワーク製品の強さの根底にあるのはその姿勢かもしれない。

◆当日の資料

以下サイトにて個人情報を登録することでダウンロードできます。

https://www.scsk.jp/product/common/yamaha/registeredpage.html