1. はじめに
よく「コンフィグを書く」といいますが、本来は規定のコンフィグ(デフォルトコンフィグ)からのカスタマイズであり、スクラッチでコンフィグを書き上げる事はあまり多くありません。 しかしその一方で、デフォルトコンフィグ無しに環境を構築してしまい、運用に苦労する事もあるのではないでしょうか。
ヤマハ ルーターではコンフィグのセーブとロードを上手に使うことで、障害対応の迅速化や確実化を実現する事が可能です。
2. 「デフォルトコンフィグを作る」ということ
本来は構築作業の一環ではなく、そのネットワークの標準化の一環として、「デフォルトコンフィグの作成」を行います。これは、これから投入しようとする機器類で共通の設定を予め行い、すべての環境で同じコマンドに対し同じ結果が返ってくるようにする事です。
これらには、共通パスワード設定の他、syslogサーバ設定・SNMP設定といった管理面の設定等も含まれます。
今回は作例として、RTX1210の初期化直後のコンフィグを、以下のようにカスタマイズしました。
# コンソールの文字コードはUTF-8、行数制御(more)なし console character ja.utf8 console lines infinity # LAN3よりDHCPにて取得した情報を元に、インターネットと通信する ip route default gateway dhcp lan3 ip lan1 address 192.168.100.1/24 ip lan3 address dhcp # IPマスカレードを設定する、SNATはしない。 nat descriptor type 1000 masquerade nat descriptor address outer 1000 ipcp nat descriptor address inner 1000 192.168.100.1-192.168.100.254 # DHCPサーバを設定する dhcp service server dhcp server rfc2131 compliant except remain-silent dhcp scope 1 192.168.100.2-192.168.100.191/24 dns server dhcp lan3 # 毎日05:45:00に内部の時計を調整する schedule at 1 */* 05:45:00 * ntpdate ntp.jst.mfeed.ad.jp syslog dashboard accumulate traffic on
例えばPPPoEによるインターネット接続やIPsecなど、これをベースにアレンジして頂ければと思います。
3. ヤマハ ルーターは複数個のコンフィグが保存できる
ヤマハ ルーターでも複数個のコンフィグを保存する事が出来ます。
RTX1210の場合、0~4の計5個のコンフィグを保存する事が可能です。
# save ? 入力形式: save [ファイル名 [コメント]] ファイル名 = '0'-'4'(内部) 説明: 管理ユーザにログインしてから変更した設定内容を不揮発性メモリに 書き込みます
使い方は至って簡単で、saveコマンドに保存する場所(1~4)を付けるだけです。
標準では0が使用されます。
# save 1 セーブ中... CONFIG1 終了
今の状態を確認する為、「show file list internal」コマンドを実行します。
# show file list internal No. Date Time Size Sects Comment ----- ---------- -------- ------- ------- ------------------------------------ 0 2017/02/25 17:43:39 327 206/206 0.1 2017/02/25 17:18:41 327 207/207 0.2 2017/02/25 17:13:29 327 211/211 * 1 2017/02/25 17:43:30 335 209/209 ----- ---------- -------- ------- ------- ------------------------------------
これにより、内蔵ストレージ1番にコンフィグが保存されました。
最後に、次回起動時のコンフィグを0番に(元に)戻しておきましょう。
# set-default-config ? 入力形式: set-default-config 設定ファイル名 説明: 起動時のデフォルト設定ファイル名を設定します # set-default-config 0 (出力なし)
4. ブートローダーによる起動コンフィグの変更
コンソール接続中に再起動もしくは電源投入を行うと、カウントダウンの後に規定のファームウェア及びコンフィグで起動しますが、カウントダウン中にキー入力があった際に、任意のファームウェアおよびコンフィグから起動をする事が可能です。
RTX1210 BootROM Ver. 1.03 Copyright (c) 2014 Yamaha Corporation →ここでカウントダウンがされるので、何かキーを押す Press 'Enter' or 'Return' to select a firmware and a configuration. Default settings : exec0 and config0No. Revision ----- ----------------------------------- * 0 Rev.14.01.14 ----- ----------------------------------- Select the firmware [0 or 1] : 0 ←ファームウェアを選択 No. Date Time Size Sects Comment ----- ---------- -------- ------- ------- ------------------------------------ * 0 2017/02/25 17:43:39 327 206/206 0.1 2017/02/25 17:18:41 327 207/207 0.2 2017/02/25 17:13:29 327 211/211 1 2017/02/25 17:43:30 335 209/209 ----- ---------- -------- ------- ------- ------------------------------------ Select the configuration [Number in upper list, or '-'(hyphen) to go back] : 1 ←コンフィグを選択 Starting with exec0 and config1 ... Loading configuration file... Done.
5. おわりに
ヤマハ ルーターは1~数拠点程度の諸規模サイトから、数百・数千といった大規模サイトまで様々な場面で使われており、今回お伝えしたテクニックが運用の現場ではよく使われています。 例えば「障害切り分けの場合、コンフィグ1番から機器を起動し、マニュアルに沿って機器をテストする」といった具合です。
GUI管理画面だけでは使うことなく終わってしまう機能ですが、これらを上手く使って管理性を上げていって頂きたいです。