津村彰氏によるコラム第6回「L2MSプロトコルの基礎を学習してみよう」

1. はじめに

急に寒さが増しましたね。実は今年、2回も風邪をひいてしまいました。
今年の風邪は厳しいですね。皆様もご自愛ください。
さて、今回はヤマハ ネットワーク機器の独自プロトコル「L2MS」について、簡単に概要をご案内しようと思います。

2. L2MSプロトコルの特徴を抑えてみよう!

RTX1210、SWX2100、SWX2300といった最近のヤマハ ネットワーク機器では、L2MSという独自プロトコルに対応しており、OSI階層モデルにおけるデータリンク層での通信を用いてネットワークトポロジの把握・および機器の制御を行うための機能です。ウェブUI等では「LANマップ」として実装されています。
詳細はRTproにプロトコルの詳細が紹介されていますが、今回は簡易的にどのような動作をするのか、またどのような機器類の組み合わせが許されるのかを確認したいと思います。

3. L2MS対応機器

L2MSではいくつかの制約の中でトポロジを構成しなければいけません。
紙面の都合上全ての機種を書くことが出来ませんので、代表的な機種で紹介します。

RTX1210 NVR510 SWX2100 SWX2200 SWX2300 WLX202 WLX302 WLX402
コントローラー
スレープ

詳細はRTproの表を参照してください。
http://www.rtpro.yamaha.co.jp/RT/docs/swctl/

コントローラーとは、コンフィグの集配信であったり、スレーブへのヘルスチェックを行なっています。現時点での仕様では、コントローラーを複数台で冗長化させる事は出来ません。

4. L2MSの特徴

L2MSの特徴は、なんといってもL2パケットによる直接監視であり、LAN内の機器の運用・監視という意味では十分な成果を出してくれます。
併せて、LANマップ等から該当機器の管理画面を開こうとした場合、L2MSマネージャーがプロキシとして機能し、例えスレーブがリンクローカルアドレスしか付与されていなくともウェブ管理画面にアクセスする事が可能です。

5. L2MSを使っているときのファームウェアアップデート

SWX2200といった自律的な管理機能を有しない機器の場合、L2MSを使用してマスターからスレーブに対し、ファームウェアアップデート要求を実行します。具体的には、CLI、もしくはウェブ管理画面上からアップデート作業を実施します。
以下はRTX1210でのコマンド実行例です。事前に、ファームウェアの本体をUSBメモリやmicroSDなどに保存しておく必要があります。

switch control firmware upload go FILE
6. L2MS構成時の注意点

さて、RTX・SWX・WLXだけでネットワークが構成された場合、上記の問題点はオールクリアとなるのですが、一箇所でも他社製ネットワーク機器が挟まる場合どうなるのでしょうか。
いくつかのパターンで考えてみましょう。

6.1. メディア・コンバーターを挟んだ場合

メディア・コンバーター(SFPを含む)を介する場合、これらはL1機器ですので、機器同士が直結されたように見えます。

6.2. L2スイッチを挟んだ場合

他社製L2スイッチを挟んだ場合、LANマップ上ではその機器が存在しなくなります。
また、他社製L2スイッチに複数のヤマハ ネットワーク機器を接続していた場合、コントロールが取れなくなる場合があります。

6.3. VLANを用いる場合

L2MSの通信は、タグなしフレームで送受信されます。その為、L2MSを使用する場合はUnTaggedで疎通するよう構成する必要があります。

7. おわりに

ヤマハ ネットワーク機器オンリーの環境を構築する場合にはとっても幸せなのですが、他社ネットワーク機器の混在となると、どうしても粗色を見せてしまう惜しい機能だと思っています。
しかし、逆に言えばヤマハ ネットワーク機器のみでシステムを構築した際には、最強の運用ソリューションに化けます。
実際に過去に構築した案件では、ヤマハ ネットワーク機器の全面採用、およびL2MSの利用で大きく運用負荷が下がった例もあり、きちんと内容を理解して使用するととても便利です。

8. 次回予告

次回以降はSWX2300シリーズについて、ハウツーを交えながらより具体的な使い方をご紹介して行ければと思います。
ゴールとしては、以前RTX1210 + SWX2200で簡易的に構築したネットワークを、SWX2300で再構築してみましょう。
今までとは一変、所謂「黒い画面」とにらめっこする事になりますが、これらをクリアした暁には、OSI階層モデルの意味といったものもうっすら判ってくると思います。
また併せて、例えばCCENT/CCNA取得者がSWX2300を使うにあたり、差分となる情報もお出しできればと思います。