シオラボのネットワーク技術コラム第12回 「L3スイッチでのQoS(1)」

1. はじめに

前回までの「シオラボのネットワーク技術コラム」では、L3スイッチにおいて非常に重要な機能であるVLANとVLAN間ルーティングについて説明しました。ネットワークの規模が大きくなってくると、それにともなって、セグメントを分割したいケースが多く出てきます。例えば、部署ごとにセグメントを割り当てて、アクセスできる範囲を限定したいといった場合です。しかし、セグメントを分割したいといった要望はあるものの、ネットワーク機器が限られているということもあります。そういった場合に、VLANを構築するのは良い選択です。VLANの設定はやや複雑ですが、特にタグVLANを実際に設定してみると混乱してしまい、うまくいかないこともあります。そんなときは、まず基本に立ち返って、VLANの概念から復習してみるとよいかもしれません。

さて、今回は、QoSについて説明していきます。QoSは、L3スイッチに限った機能ではありませんが、オンラインミーティングでは大活躍の技術です。QoSについて基本的な知識を理解しておきましょう。

2. QoSとは

QoS(Quality of Service)とは、ネットワーク上でのサービス品質のことで、ある特定の通信を優先して伝送したり、帯域幅を確保したりして、一定の通信速度を保証する技術のことです。ネットワーク上には、さまざまなデータが流れています。昨今は、Webページやソフトウェアのダウンロードだけでなく、動画や音楽、さらにオンラインミーティングによる映像や音声のデータも多く流れています。オンラインミーティングで映像や音声が途切れることを経験することで、それらのデータ量が日増しに増えていることを感じ取った方もいらっしゃるのではないでしょうか。データ量が増えると、当然のことながら、ネットワークは混雑します。混雑すると、パケットロスが発生してしまうので、動画がスムーズに流れなかったり、会話が途切れたりします。これらは、直接ユーザーに影響を与えてしまうのですが、一方、Webページのようなテキストデータは多少の遅延が発生しても直接的に影響が出るものではありません。この違いを利用して、例えば動画や音声データは優先的に伝送をおこなうようにしたり、帯域幅をあらかじめ確保したりしておくことで、ユーザーに不自由を与えないように工夫する仕組みがQoSです。

▲何もしないと

▲QoSを導入すると

3. QoSのモデル

ネットワーク機器にQoSを適用する場合のモデルには、次の3つがあります。

(1)IntServ(Integrated Services)

アプリケーションの通信フローごとに帯域を予約する方法で、RSVP(Resource Reservation Protocol)というプロトコルを使用します。RSVPは、IPまたはUDPの上位プロトコルで、IPネットワークで送信元から送信先までの帯域を事前に予約しておくものです。

(2)DiffServ(Differentiated Services)

アプリケーションの通信フローごとに処理をおこなうのではなくて、複数の通信フローをまとめたクラスを作り、クラスごとに処理の組合せを適用する方法です。トラフィックをいくつかのクラスに分け、マーキング、キューイング、スケジューリングという処理をおこないます。一般的にQoSと言えば、この方法を指します。

アプリケーションのデータをグループ化し、DSCP(DiffServ Code Point)と呼ばれる、IPヘッダのTOSフィールド内にある6ビットのフィールドで優先度(0~63)を表すものや、IEEE802.1Qタグ内のCoS(Class of Service)と呼ばれる、VLANタグヘッダ内にある3ビットのフィールドで優先度(0~7)を表すものを参照して、グループごとの優先度に従って、データを転送します。

(3)ベストエフォート

パケットの内容やサイズに関係なく、特別な処理をせずに、到着した順番にパケットを転送していくものです。この方式をFIFOと呼びます。IntServやDiffServの実装がない場合には、QoSのデフォルトの動作として、ベストエフォートでの処理がされます。

今回は、ネットワーク上の通信品質にまつわるQoSという技術について、基本的な部分を説明しました。次回は、QoSの種類について説明し、L3スイッチでQoSがどのように実装されているかを見ていきたいと思います。次回もぜひお楽しみに。