シオラボのネットワーク技術コラム第4回「スイッチの基礎知識」

1. はじめに

「シオラボのネットワーク技術コラム」では、前回までを「ルータ」特集とし、基礎知識、ルーティング方式、ルーティングプロトコルなどについて解説してきました。ヤマハネットワーク機器の代名詞とも言える「ルータ」ですが、その中に潜んでいる論理的なネットワーク技術を徐々に理解できましたか。ネットワークの本質の理解に少しずつ近づいていきましょう。

さて、今回からは、ヤマハネットワーク製品の中でルータと同様に人気のある「スイッチ」を取り上げます。スイッチに関連したネットワーク技術を一緒に学んでいきましょう。

2. スイッチとは

(ヤマハ独自の「見える化」機能搭載。豊富なラインナップを揃えるヤマハのスイッチ)

スイッチは、ネットワークの集線装置のことで、複数のネットワーク機器をネットワークに分岐させる機能を持つものです。簡単に言うと、分岐させてネットワークへの接続数を増やすものだと理解すればよいでしょう。

ルータは、ネットワーク層(第3層)のプロトコルに基づいてデータパケットの中継や交換をおこなうものでした。一方、スイッチは、OSI参照モデルの、どのプロトコルの情報を解析して中継をおこなうかによって分類されます。

データリンク層(第2層)のプロトコル、つまりMACアドレスなどの情報を基に中継をおこなうものを「L2スイッチ」、ネットワーク層(第3層)のプロトコル、つまりIPアドレスなどの情報を基に中継をおこなうものを「L3スイッチ」、トランスポート層(第4層)のプロトコル、つまりUPDやTCPなどの情報を基に中継をおこなうものを「L4スイッチ」と呼びます。また、L2スイッチのうち、イーサネットのハブにネットワークスイッチの機能をもたせたものを「スイッチングハブ」と呼んだりします。さらに、データリンク層(第2層)で動作する機器で、データ転送をソフトウェアで制御するものを「ブリッジ」と呼んだりもします。スイッチ、スイッチングハブ、ブリッジといった名称が出てきましたが、最近のネットワーク機器は多くの機能を搭載しているものが多く、メーカーによっても違いがあるので、その境界は曖昧です。明確に分類することは難しいかもしれません。

ここでは、ヤマハネットワーク機器のL2スイッチとL3スイッチについて取り上げていくことにします。

3. L2スイッチとは

(ヤマハのインテリジェントL2 PoEスイッチSWX2310P-18G)

L2スイッチは、データリンク層(第2層・レイヤ2)において、フレームに含まれるアドレス情報を基に送信先を判断して、転送をおこなうネットワーク装置のことです。

データリンク層における通信単位は、「フレーム」と呼ばれるデータ列です。一般的に、ネットワーク上を流れるデータ列のことを「パケット」と呼びますが、フレームは、「データリンク層を流れるパケット」のことを言います。フレームには、送信元と送信先のアドレス情報が含まれており、これらの情報を使うことで、端末同士の相互接続が可能となります。最近は、データリンク層といえばイーサネットのことを指し、イーサネットでやりとりされるデータの最小単位を「イーサネットフレーム」と呼んでいます。イーサネットフレームには、MACアドレスの識別子が含まれており、そのMACアドレスを使用して相互接続がおこなわれます。

4. L3スイッチとは

(ヤマハのスタンダードL3スイッチSWX3200-28GT)

L3スイッチは、ネットワーク層(第3層・レイヤ3)のデータ中継をおこなうネットワーク装置のことです。

ネットワーク層においては、それぞれのネットワーク端末にレイヤ3用のアドレスが割り当てられ、相互に接続しているネットワーク内では、各端末が識別可能な状態となっています。この、「レイヤ3用のアドレス」で、現在、最も普及しているものが、IPアドレスです。つまり、L3スイッチとは、IPアドレスを用いたルーティングをおこなう装置のことと理解すればよいでしょう。さらに、L3スイッチにはVLANを設定することが可能で、L3スイッチではVLAN間通信をおこなうことも可能です。

L3スイッチは、同様にレイヤ3の機器である「ルータ」と機能的に重複する部分が多く、双方の明確な違いは曖昧になってきています。一般的には、処理をハードウェアでおこなうものを「L3スイッチ」、ソフトウェアでおこなうものを「ルータ」と呼ぶ傾向にあるようです。

今回からは、スイッチを取り上げ、まずは、L2スイッチとL3スイッチの概略を説明しました。次回からは、L2スイッチ、L3スイッチの中でどのような処置がおこなわれているか、論理的な部分を中心に解析していこうと思います。