シオラボ氏のネットワーク技術コラム第3回 「ルーティングプロトコルを理解する」

1. はじめに

前回は、ヤマハネットワーク製品の代名詞とも言える存在となった「ルータ」に着目し、ルータの基礎的な仕組みと、ルーティングテーブル、ルーティング方式について説明しました。

ルータは、ルーティングテーブルを参照してパケットの転送をおこないます。もし、ルーティングテーブルに経路情報が存在しない場合は、パケットは転送されずに破棄されてしまいます。このように、ルーティングテーブルは、経路を決定するために非常に重要なものですが、ネットワークが複雑になってくると、経路情報すべてを手動で設定するのは大変な手間となります。そこで、ルータ同士が相互にやり取りして、最適な経路を自動的に更新する動的ルーティングという方式があります。動的ルーティングでは、ルーティングテーブルを自動的に更新するために、ルータ同士が通信するためのルールがあり、それが「ルーティングプロトコル」です。今回は、このルーティングプロトコルについて説明していきましょう。

2. ルーティングプロトコルとは

ルーティングプロトコルは、AS(Autonomous System=自律システム)内で使用するIGP(Interior Gateway Protocol)と、異なるAS間で使用するEGP(Exterior Gateway Protocol)に大別されます。そもそも、ASとは、同じルーティングポリシーの配下で動作するルータの集合体のことで、各ASは、独自のポリシーを持っています。インターネットは、多数のASの集合体ですが、ルーティングプロトコルで相互接続することで、経路の数を削減できています。

3. IGP

IGPは、AS内でルーティング情報を交換するプロトコルです。IGPとして使用されるプロトコルには、「RIP」「OSPF」などが存在します。

  • RIP

宛先までに経由するルータの数(ホップ数)をもとにして、最小のホップ数の経路を選択する方式です。比較的小規模なネットワークで利用されています。設定が簡単で、対応しているルータが多いという特長がありますが、RIPの最大ホップ数は15までなので、ルータが16台以上連結しているネットワークでは使用できません。

ヤマハルータでRIPを使用するには、rip use onコマンドを実行します。

  • OSPF

宛先までの帯域幅など(コスト)をもとにして、最小のコストの経路を選択する方式です。中規模以上のネットワークに適しています。ネットワーク変更時の収束時間が短く、帯域幅を考慮した経路設定ができます。また、最大ホップ数にも制限がありません。OSPFは、RIPに代わるルーティングプロトコルとして開発され、多くの企業内ネットワークで利用されています。

4. EGP

EGPは、異なるAS間のルーティングを制御するプロトコルです。現在では、「BGP」が、インターネットのAS間で使用するルーティングの標準となっています。BGPといえば、一般的にBGP4(バージョン4)のことを指します。

  • BGP

BGPの経路情報には、宛先までに経由したAS番号のリスト(ASパス)が含まれており、通常、ASパスの短いものを最短ルートとして使用します。ちなみに、それぞれのASには、IANA(Internet Assigned Number Authority)が管理している16ビットの数字を用いたAS番号が割り振られており、BGPにおいては、AS番号のユニークさをもってインターネット上の各々のネットワークを認識します。

ヤマハルータでBGPを使用するには、bgp use onコマンドを実行します。さらに、OSPFとBGPとを併用することもできます。そうするには、bgp router idコマンドか、ospf router idコマンドのいずれかを設定します。

今回は、動的ルーティングで必要となるルーティングプロトコルについて解説してきました。どのようなものか理解できたでしょうか?

さて次回以降は、ヤマハネットワーク製品としてルータと双璧をなす、スイッチを取り上げます。まずは、スイッチの基本知識について解説していきましょう。