シオラボのネットワーク技術コラム第2回 「ルーターの基礎知識」

1. はじめに

前回より始まりました「シオラボのネットワーク技術コラム」。まずは、ネットワーク技術の基礎知識を深めようということで、論理的なネットワークを理解する本質は、通信相手を識別するのにどのような情報を使っているかを理解することだと説明しました。通信相手を識別するのに、IPアドレスを使っているのか、MACアドレスを使っているのか、そのようなことを意識すれば、ネットワークの本質の理解に近づけるはずです。

さて、今回は、ヤマハネットワーク製品の代名詞とも言える存在となった「ルーター」に着目します。ルータを題材に、論理的なネットワークについて深く学んでいきましょう。

2. ルーターとは

ヤマハの中小規模拠点向けVPNルーターRTX1210

ルーターといえば、WANとLANの間に位置し、お互いの橋渡しをしているようなイメージがあります。ブロードバンドルーターを設置しているお宅も多いことでしょう。

ルーターは、OSI参照モデルにおけるネットワーク層(第3層)のプロトコルに基づいて、データパケットの中継や交換をおこなうネットワーク機器です。つまり、IPアドレスを使ってパケットを転送する仕組みを持つ機器です。

通信をおこなう際の基本的な単位は「パケット」と呼ばれ、各パケットには、そのパケットを送り出した送信元のIPアドレスと、そのバケットの宛先のIPアドレス、そして、実際のデータが含まれています。ルーターでは、このパケットに含まれる、送信元IPアドレスと、宛先IPアドレスを使ってルーティングをおこないます。

3. ルーティングテーブル

ルーターは、ルーティングテーブルと呼ばれる、パケットの宛先と、次の転送先が記されている情報を持っています。ルーターは、ルーティング対象のパケットを受け取ると、宛先のIPアドレスからルーティングテーブル上のルート情報を検索して、転送先を決定します。その後、レイヤ2ヘッダを書き換えてパケットを転送します。ルーターがパケットを転送するには、ルーティングテーブルに転送先のルート情報が、あらかじめ登録されている必要があります。

実際に、ヤマハルーターでルーティングテーブルを見てみましょう。ルーティングテーブルは、「show ip route」コマンドで確認することができます。コマンドを発行すると、次のような結果が得られます。

  • 宛先ネットワーク

パケットの宛先となるネットワークです。

  • ゲートウェイ

パケットを次に転送する先です。

  • インタフェース

パケットを転送するルーター自身のインタフェースです。

  • 種別

ルーティング方式です。静的ルーティングの場合はstatic、動的ルーティングのRIPの場合はRIP、ルーター自身が管轄するネットワークの場合はimplicitなどと表示されます。

4. ルーティング方式

ルーターのルーティング方式には、2つの方式があります。

静的(スタティック)ルーティングは、システム構築時などにあらかじめコマンド等で経路設定を設定しておく方式です。静的ルーティングを採用すると、ルーター間で経路情報のやり取りをしなくなります。簡単に設定でき、ルーターの負荷が少ないといったメリットがある一方、もしネットワーク構成が変わった場合は、経路情報を手動で変更しなければならないというデメリットがあります。また、設定していた経路に障害が発生した場合には、代替経路を利用して通信を継続することができません。

一方、動的(ダイナミック)ルーティングは、ルーター同士が経路情報を相互にやり取りして最適な経路を選択していく方式です。ネットワーク構成が変わっても経路設定を手動で変更しなくてもよく、経路に障害が発生した場合も、代替経路で通信を継続します。一方、動的ルーティングを扱うには、ルーティングプロトコルという知識が必要になります。ルーティングプロトコルは、ルーティングテーブルを更新するために、ルーター同士で通信するルールのことで、代表的なものに、RIP、OSPF、BGPなどがあります。また、動的ルーティングでは、誤った経路情報が流されると広範囲に渡って障害が発生してしまうといったデメリットもあります。

今回は、ルーターの基礎的な仕組みを説明してきました。次回は、ルーターの動的ルーティングで必要となるルーティングプロトコルについて解説していこうと思います。RIP、OSPF、BGPなどを取り上げます。