ISDNマイグレーションのおさらい(津村彰氏)

いよいよ、ISDNマイグレーションの季節になりました。
「そのままNGN(フレッツ光)に移行すればいいんじゃないの?」という声もありますが、現実にはそう甘くありません。
ISDNとNGN網や専用線・広域イーサー網では、用途や特徴が異なり、そのままでは移行出来ないパターンもあります。
今回は、ISDN網と、付随サービス(オプション)について、その特徴を纏めてみましょう。

■ ISDNは帯域保証された公衆回線/デジタル専用線
ISDN回線が開発された当初、現在のTCP/IPのようなパケット通信はまだ一般的ではなく、1:1で回線を繋ぐ「回線交換」という方法でした。
これにより、ISDN回線の通信である64kbpsもしくは128kbpsは、帯域保証されていたのです。
この回線のことを、「Bチャンネル」と言い、BRI(INSネット64)の場合2チャンネルまで使用する事ができました。

交換機との通信(呼制御など)には、別途Dチャンネルがありますが、ヤマハ ルーターを使う上では意識する必要は無いでしょう。

■ 現在はパケット交換
現在のほとんどの通信は、TCP/IPを基にパケット交換により通信が行われています。

パケット交換では、途中の回線を相乗り出来る代わりに、帯域やレイテンシが安定しない場合があります。
これらは、よく言う「パケ詰まり」や「ラグる(遅延がある)」状況を指します。

拠点間にダークファイバを敷設するなど、物理レイヤーで対処する場合は別ですが、広域イーサー網などL2以上で通信を行う場合は、注意が必要です。

■ 夜間バッチに最適「INSテレホーダイ」
ISDN回線では、通常は接続時間に対する時間課金ですが、INSテレホーダイを使用する事により、深夜11時~朝8時の間、指定した電話番号に対する通信を定額にする事が可能です。
https://web116.jp/shop/waribiki/ith/ith_00.html

当時は、現代のようにネットワーク間を常時接続するにはハードルが非常に高く、夜間バッチの通信などにもよく利用されていました。

例えば、地域の小売店舗といったパターンで使われている場合があります。
小売店舗のチェーンA・B・Cのストアコンピュータ(POSレジを統括するサーバー)と、本部のホストコンピューターの通信を、時間差を利用して送信・集計処理・受信する事が可能です。

■ アクセスポイントのダウンに「ボイスワープ」
ISDN回線は回線交換ですが、仮に接続先のアクセスポイントがダウンしたらどうなるでしょう?
また、電話回線ですので、停電などの他に、落雷による故障もよくありました。

こういった場合、「ボイスワープ」を使用することで、アクセスポイントの電話番号への着信を、予備のアクセスポイントに転送する事が可能です。
https://web116.jp/shop/benri/ivw/ivw_00.html

切替えの作業は手動で行う必要がありますが、当時はこれによりアクセスポイントの代表電話番号を転送し、サービスダウンを防いでいた時期がありました。

■ TAの制御にはATコマンド
ヤマハ ルーターをはじめとする、ISDN回線に対応するルーターでは、設定により自動的に接続・着信・切断といった回線制御を行います。
しかし、通常ISDN回線を使用する為には、ターミナルアダプタ(以下TA)という機器が必要であり、シリアル回線(RS-232C)を使用し、ATコマンドというコマンドを使用して制御を行っていました。
現在では目にすることは減りましたが、PCのほか、一部機種ではルーターにTAを外付けしている場合があります。
その歳、TAへの制御はATコマンドを使用しています。

■ おわりに
ISDNマイグレーションにあたり、「回線交換」と「パケット交換」について、簡単にまとめてみました。
帯域保証を期待しているが故に、移行後に帯域を使いすぎたり、帯域の不安定さやレスポンスの遅延によりトラブルが出る場合も考えられます。
実際、移行作業をしてみると、予想していないのトラフィックが発生しており、スパイクトラフィックによりホストに負荷が掛り過ぎるといった場合や、回線交換網と同程度の高品質の回線が必要であった場合もあります。

どうぞ、参考にしてください。

修正履歴:2019年4月15日 BチャンネルとDチャンネルの表記が逆だったため修正いたしました。