津村彰氏のヤマハではじめてみよう!L3スイッチ第001回「ブラウザで始めるL3スイッチ」

1. はじめに – SWX3100-10Gがやってきた!

発売されたばかりの、ヤマハ L3スイッチ「SWX3100-10G」が届き、ワクワクしながらセッティングしました。
今回はその中から、「LANマップを使うまで」と、「既設のネットワークに組み込むまで」をご紹介したいと思います。
SWX3100-10Gは、1000Base-TXが8ポート、1000BaseのSFPポートが2ポートの、計10ポートのL3スイッチです。上位モデル(SWX3200シリーズ)より機能は劣りますが、その分安価であり、そしてファンレスのモデルとなります。よって、従来ヤマハ ネットワーク製品に求められてきた「静音性」「安定性」をそのままに、L3スイッチの恩恵を受ける事ができます。

2. ネットワークにヤマハ L3スイッチを組み込んでみよう

2.1. サンプルとなる環境

ここではサンプルとして、以下のようなトポロジーのネットワークを構築してみましょう。

上位となるRTX1210には、今回例として、既に以下のコンフィグが設定されているものとします。

ip route 192.168.100.0/24 gateway 192.168.1.240
ip lan1 address 192.168.1.1/24
ip lan3 address dhcp
ip lan3 nat descriptor 1
nat descriptor type 1 masquerade
nat descriptor address outer 1 primary
dhcp service server
dhcp server rfc2131 compliant except remain-silent
dhcp scope 1 192.168.1.2-192.168.1.191/24

1行目の「ip route 192.168.100.0/24 gateway 192.168.1.240」により、「192.168.100.0/24宛の通信は、192.168.1.240(SWX3100)へルーティングする」といった事を事前に定義してあります。
また、LAN3ポートよりDHCPによりIPアドレス・デフォルトゲートウェイを取得し、NAT(IPマスカレード)が設定されています。これにより、LAN3よりインターネットに接続できるものとします。
こちらは実際の環境に応じて読み替えてください。

3. SWX3100-10Gの管理画面とLANマップを使えるまで

SWX3100では、LANマップ(L2MSマスター)が実装されており、幾つかの注意点とセットアップ事項はありますが、RTX1210やRTX830と同等のLANマップを使用する事ができます。

まず、LANマップを起動するインターフェースを指定する事が出来ず、全てのポートが対象となります。これは、現行のL2MSの仕様の一部であり、VLANインターフェースではなく物理インターフェースでのみ使用可能な為です。よって、SWX3100でLANマップを使ったネットワークを構成する際は、トポロジーの構成に注意が必要です。

SWX3100でLANマップ(L2MSマスター)を使用する為には、最初に初期設定が必要となります。
・DHCPサーバーの設定
・L2MSマスターの起動

3.1. 管理画面の開き方

初期設定でIPアドレス「192.168.100.240/24」が設定されており、すべてのポートで通信が可能です。
このIPアドレスは、他ヤマハ ネットワーク製品と重複している場合があるので、セットアップは実際のネットワークに接続する前が良いでしょう。

ブラウザで「http://192.168.100.240/」を開くとログイン画面が表示されるので、そのまま「ログイン」をクリックします。

以降、管理者ユーザーとしてブラウザから設定操作が可能です。

3.2. DHCPサーバーの設定

LANマップでは、L2MSスレーブに対し設定画面等の通信を行う際にIPアドレスが必要な為、ヤマハ ルーターでは初期化直後のコンフィグでDHCPサーバーが有効になっていますが、SWX3100では有効ではありません。よって、設定を行います。

管理画面より、「詳細設定」→「DHCPサーバー」と進み、「DHCPサーバー機能」を有効にします。
有効にするインターフェースとして既存のVLAN「vlan 1」が標準で選択されているので、このままにします。

次に、インターフェース「vlan 1」に対し、アドレス割り当てを設定します。
ここではヤマハ ネットワーク製品の慣習に則り、以下のように設定します。

・ネットワークアドレス:192.168.100.0/24
・ IPアドレスの範囲:192.168.100.2-192.168.100.191
・ DNSサーバー1:8.8.8.8 (Google Public DNS)

以上の設定を行い、PCのIPアドレスをDHCPにて自動設定出来れば完了です。

3.3. L2MSマスターの起動

SWX3100は、初期化直後は「L2MSスレーブ」として設定されている為、L2MSマスターとして設定する必要があります。
管理画面より「LANマップ」→「設定」と進み、モードを変更します。

L2MSの動作モードを変更する際は、機器の再起動が必要です。以下のダイアログが表示されるので、「再起動画面」をクリックし、機器の再起動を行います。

無事に再起動が終わると、LANマップが表示されるようになります。
以下はSWX3100に、操作用のPCと、無線アクセスポイントであるWLX202を接続した様子になります。WLX202は初期化をし、SWX3100の再起動後に接続しています。

4. VLANを設定してみよう!

L3スイッチの世界では、従来で言う「VLAN間ルーティング」を設定する事により、高速なルーティングを得る事が出来ます。
よって、新たなネットワークセグメントへ接続する場合は、都度VLANインターフェースを作成する事となります。
ヤマハ SWX3100では、これらもブラウザ上の管理画面から容易に行う事ができます。

今回は例として、以下の設定のインターフェースを作成してみましょう。
・ VLAN ID:21
・名前:VLAN21
・IPアドレス:192.168.1.240/24
・ポートアサイン:Port8(アクセスポート)

まず、管理画面の「詳細設定」→「VLAN」→「VLANの作成」を開きます。以下のように、現在デフォルトVLAN(VLAN ID:1)のみ設定されているので、VLANを新規追加します。

次に、先のパラメータに従ってVLANを作成します。
確認画面で以下のように表示されていれば問題ありません。

次に、作成したVLAN「VLAN21」を、ポート8にアクセスポートとして割り当てます。
同じく「詳細設定」→「VLAN」と進み、「タグVLAN」を選択します。
port1.8を選択し、以下の通り設定を変更します。

成功すると、以下のようにport1.8のVLANが変更されたことが確認できます。

5. ルーティングを設定してみよう!

さて、いよいよ実際のネットワークへ機器を接続します。
L3スイッチは、スイッチという名前でありながらルーターの一種ですので、上位のルーターへの設定追加が必要となります。

5.1. SWX3100へのルーティングの追加

上位のRTX1210はデフォルトゲートウェイとなる為、ここではデフォルトゲートウェイとして「192.168.1.1」を設定してみましょう。

管理画面の「詳細設定」→「ルーティング」を選択します。
下図のように、現在のルーティングテーブルが表示されています。
ここでは、「192.168.100.0/24」と「192.168.1.0/24」 を相互にルーティングする設定が入っている事が確認できます。

「新規」アイコンより、ルーティングを追加します。
ここでは、以下のパラメータを設定します。
・宛先ネットワーク:default
・ゲートウェイ:192.168.1.1
・優先度:1

下図のように確認画面が表示されるので、設定を確定します。

無事に設定が終わると、ルーティングテーブルにデフォルトゲートウェイが追加されている事が確認できます。

6. ここまでの結果の確認

ここまでの設定の結果、以下のような挙動が正常な結果となります。

・SWX3100のport1~7に接続した端末が、DHCPによりIPアドレスを割り当てられる。
・端末がインターネットに疎通する(ブラウザでウェブページが表示できる)

7. おわりに

ヤマハ初のL3スイッチのエントリーモデル「SWX3100」を、今回はウェブ管理画面から設定をしてみました。これにより、LANマップによる配下の機器の管理と、セグメント間のルーティングの実装をする事が出来ました。

ヤマハ SWX3100を使用した感想として、「ブラウザだけでここまで出来る!」というポイントと、「管理画面が全て日本語化されている」、という所に要約出来ると思います。特に後者は、従来英語の管理画面がメインであった製品カテゴリであっただけに、日本の現場での導入に向けて大きな1歩となるでしょう。

次回は、今回の設定内容をCLI(コマンドライン)より設定してみたいと思います。